〜 視点を変えればいつだって新しい日々(06) 〜


2010年9月下旬
 

「テント場」

@常念岳


もう、前回のようにあわてることもなく、

水はけや床面を考慮して場所を探し、

手ごろな大きさの石を見つけてテントを固定して。


 

乾燥食材だけじゃなくて、

南瓜の煮物や鰯の煮つけとか

レトルト系も駆使して。


どんどんと山生活にハマって。

日常からほんの一歩出ることが大事やってこともあって。

 

そんな非日常が、

こんな突き抜けた場所だったら。


それだけで、

また頑張れるって。


寒くて凍えながら、

それでも山にしがみついて、

あったかいチャイをいれる。


そんな、コッフェルとバナーひとつで味わえる幸せ。


  「あったかい」


それだけが、こんなに幸せで。


おっきな派手な幸せを与えられるひとじゃなくても、

そんなちっちゃなあったかい幸せを大事にできるひとであれたらええなって。



2010年9中旬


   


「豆苗が旨い。」



炒めものにしても、蒸しても、さっと茹でても旨い。


しかも、1週間ほど冷蔵庫に入れておいても、

逆にスクスクと育って、ちょっと得した気にもなる。


で、袋みちみちに育ったところをほんのさっと火を通して食べる。

栄養価も抜群で言うことない。


仕事が忙しくて2週間ほど放ったらかしで、

袋の中で窮屈そうに育った豆苗を、

ラッキー!と思って料理してみたら・・・

それは、もう、育ち過ぎてスジだらけになってて。


ものには適度ってもんがあるようで。


日々、勉強やと。

2010年8月下旬
 

「夏の終わり」


のはずが、まったく終わる気配のない夏真っ只中の8月最終週。

涸沢は「涸沢フェスティバル」の真っ最中。

そんな中、まったくフェスティバル感もなく、ただ
山に挑んだ夏山第3段。


難度の高い北穂高岳〜涸沢岳縦走と、初のテント泊に挑戦。


1時間の仮眠で東京を出発し、

朝5時、沢渡で直樹と待ち合わせ、バスで上高地へ。

横尾山荘まで3時間の行程を2時間で走破し、

そこから涸沢小屋まで3時間くらいで順調に進んだものの、

いかんせん眠い。

もう、眠くて眠くて。

涸沢小屋で昼食後に30分仮眠。


気合いを入れなおして北穂高岳に向かう。

これがツライ。眠いうえに5時間近く歩き続けた上に、

ここから標高差500〜600mを一気に上がる。

休み休み、一歩一歩。

テント泊にしたせいで、寝袋や食料が重くバックパックにのしかかり、

かつそもそも50Lの旧式(海外バックパック用に12年前に購入)がそもそも重い。

こんなときは、やっぱりNicon F5と三脚の重さが恨めしくなる。


上高地から9時間。

ついに北穂高岳(3106m)に辿り着く。

 

標高3000m以上にある

日本最高所のテント場。


常念岳、蝶が岳を眼下に、

天空のテント。


初の山岳自炊は、

やいのやいので楽しくて。


ただ、疲労がたまってか、二人ともに午後6時半には倒れこむように就寝。


夜中、突然降り出した土砂降りの雨。

ちいさなテントで、ただただバリバリと受け続ける雨を耐えるしかなくて。

下がっていく気温のせいか、テントの内側は夜露でびちょびちょになり。

それでも氷点下でも耐えられる寝袋のおかげでなんとか眠りに落ちることが出来て。

そうやって、ひっそりと3000mの山肌にひっそりとしがみつく小さなテントの中で夜を明かす。


そして、朝焼けがやってきて。

それは、もう、美しくて。

コッフェルで湯を沸かして、朝食を作って食べて。


最難関の北穂高〜涸沢岳(3103m)をなんとかクリアしてまた9時間かけて下っていく。

そう、ただ登って、下りるだけ。

その間に、ただ沈んで、昇る日の光を見つめるだけ。


ただ歩く。

たぶん、それが大事。


ただ歩かなくなってたら、

ちゃんと歩いてるかどうか分からなくなってたら、

そのときは、山へ行こう。


きっとそこに、ただ山があります。


ただ、それだけやけど。



2010年8月中旬


第2段、八ヶ岳。

もう、その朝焼けの素晴らしさといったらもう・・・。


美濃戸口から歩き続けること約7時間。

赤岳(2,899m)登頂後、赤岳頂上山荘にて宿泊。

地平に沈む夕日を見て、山小屋の夕飯をたらふく喰らい、

外に出てみれば、360度満点の星空で。

ただただ寝ころんでその美しい夜空を見上げる。

天の川もくっきりと見え、人工衛星がすーっと動くのもくっきりと。

ため息が出るくらいの満天。


そんな別世界の景色とは裏腹に、

お盆で劇混みの山小屋では寝返りも打てないほどギチギチに詰め込まれ。

おじさんのいびきやなんやで深く眠れず朝を迎える。


午前4時起床。

だんだんと夜が明け、白んでくる朝を待ち、

ついに訪れた朝日は、雲への反射と相まって最高の景色を映し出してくれて。

日が昇るということが、こんなにも胸を打つものなのかと。

夢中でシャッターを押し続けて。


純粋に、生きてて良かった・・・って。



こんな美しい景色を見れて良かった・・・って。

   


反対側を振り返ると、

山の後ろにはくっきりと虹が。

しかも二重に。



もう、なにも言えねぇ。



でも、なんかいいことありそう


・・・って。

 
 

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