やっとこさサンチャゴ着。

空港を出てすぐにバスに乗る。スペイン語がまったく理解できへんから地図を運転手に見せてなんとかバスがあってることを確認。出発して30時間を超えてついに南米の旅が始まる。ターミナルに着くと一人の女性が「あなたの行く方向と同じだから荷物を運ぶのを手伝ってくれないか」。怪しい。怪しすぎる。詐欺師が狙うのは着いたばかりの浮かれた観光客が多い。でも、どう見てもその人のよさそうな大きお姉さんはおおよそ人をだましそうな雰囲気がない。警戒心を持ちつつも笑顔で快く引き受けた・・・が、この荷物がアホみたいに重い。なんでも、彼女はスペインに在住してたが、チリの実家に戻ってくるために荷物を全部引き上げたそうだ

・・・って、こっちもでかい荷物抱えてんのに引越し荷物を持たせんといて欲しいんですけど。

なんとか運び終えて別れを告げると彼女は「暑い」・・・いや、「熱い」抱擁とほっぺに濃厚な口づけをしてくれた。ついて早々なかなかベットリとした衝撃的なスタート。

まだまだ自分の宿は遠い。

 
   

とりあえず歩く。乾いた空気、捨てられた土地、閉じたままのシャッター、造りかけで止まったままのビル・・・すべてにおいてなにか荒廃した雰囲気を持つ街、ジリジリと太陽が首筋に照りつけ、次に出す一歩がしんどくなる。

何度も迷いながらもなんとか宿を発見。チェックインするなり倒れこむ。もう外に出る気力も体力もない。かなり熱っぽい。



ウトウトと半分寝たままテレビからは垂れ流されるスペイン語吹き替えの日本アニメ。
名探偵コナン・デジモン・げげげの鬼太郎・ゴーストスイーパー女神・ドラゴンボール・ドラゴンボールZ・ポケモン・キャプテン翼・スラムダンク・・・

ざっとそのまま6〜8時間ほど倒れてたろうか。

あまりにも治まらん寒気にイラついて熱い風呂で半身浴。さっぱりして扉を開けてバスルームから出た瞬間、フッと記憶が飛ぶ。気がついたら素っ裸のまま床にぶっ倒れてた。これはヤバイ。いそいそと服を着てベッドにもぐり込む。本気で帰国を考える。「このまま熱が下がらんかったら、マジでサンチャゴから直帰ってことにもなりかねん・・・」

カロリーメイトをかじって寝る。

時計をチリ時間に合わせてなかったので現時刻が分からず、時間感覚が麻痺して気持ち悪い。夜中に目が覚めて部屋においてあったりんごをひとつ丸かじり、バナナを二本食う。

寝た。ひたすら寝た・・・。

 
 
ベッドからふと横を見ると

起きるが時間が分からない。今が何時なのか・・・。とりあえずカーテンを開けると明るい。夜は明けてる。下におりる。朝食は食えるようなので10時過ぎてない。とりあえずレストランに入って時間を合わせ、果物を中心に栄養を摂取。

多少熱っぽく疲れがとれないままバックパックを抱えて安宿を探して歩き出す。

とりあえず旧市街まで歩き、駅に近い「Residencial Londres」へ。入り口のセキュリティがしっかりしてて建物が石造りでとてもきれいで落ち着く。内装も木の良さを出した歴史の長そうな宿。天井が高くてその空気感に惚れる。

昼飯にエンパナーダをかじり、文房具屋でノートとペン、薬局で石鹸を購入したところで力尽きて昼寝。起きたら夕方で、赤いカーテンに夕日が当たっているのが目に入る。真っ赤に染まるカーテンを見ながら、力強い生命感をそこにを感じた。