イースター島への移動日。やっと旅が本格始動。
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移動4時間。
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イースター島の空港。
とりあえず外はもう真っ暗なので空港に5つほどある斡旋所で宿を探そうと値段交渉・・・の途中、いきなりひとりの日本人女性が声をかけてきた。部屋のシェアを打診してくる。旅を続けてると、こんなこともさほどめずらしいことではなくなってくる。

「旅は道連れ世は情け、巻かれる縁には全部巻かれとけ・・・流れに逆らわない」

コレ、これまでの旅で得た旅を楽しむ鉄則。逆らっても旅は出来るし、着実かもしれんけど、ただ一人で移動するだけで終わっていくこともある。旅は知り合ったら巻き込まれてナンボやとも思う。

ってことで、車の荷台に積まれてチアキさんと宿に。
話にゃ関係ないけど、宿の娘がめちゃめちゃかわいい。ポリネシア系の女の子は圧倒的にかわいいと思う。黒髪に黒眉、黒い瞳と褐色の肌、鼻筋がピンと通り、意志の強そうな顔立ちをしてる。自分の好みにぴったりでちょいドキドキ。残念なのはおばちゃんになったら俺の2倍以上の立派な体格になることくらいか。それも母性。

もう回りは暗く、寝る前に外に少し出てみると、星空がすごい。もう、これは「綺麗」だとかいうレベルではない。水平線以上の半球全部星。星がありすぎてオリオン座の中が星で埋めつくされて判断しにくい。南海の孤島、最も近い島まで1900kmと、周囲に人の住む場所はひとつもない。他に汚染源は何もなく、空気が澄み切っている。満点の星空ってのはここで見えるこの景色のことだと。

宿の前に広がる海から聞こえるさざ波と広がる星空、この星空をみただけでもこの島に来た意味があったと思える・・・。

 
 
モアイ製作所・1



翌朝、イースター島を一周しようとチャリを借りに街へ出かけると、ちょうどレンタル屋の前で二人組みが声をかけてくる。

「自転車じゃ観光はキツイ。宿もそこ出なさい。今本田君がいるとこがいいよ。安いしおかみさんやさしいし・・・なんならあたしが知り合いに車を借りれるようにもしてきてあげる」と。何がなんだか分からないまま本田さんとマサミさんの勢いに流されて宿を移動することになった。結局流れには逆らえない。一泊800円という破格の値段でメシ付洗濯付に引かれ、いそいそと移動する。

 
モアイ製作所・2
 

その宿は、ただの民家の一室を貸してるだけの宿。これからヌア〔ラパヌイ語(イースター島の言語)でお母さん〕と呼ぶことになるおばさんが切り盛りしている。のんびりしているとマサミさんが旅行兄弟アツシ&リョウジを連れてきてくれ、車をシェアして6人でイースター島を巡り始める。マサミさんは南米でのガイド経験があり、考古学を勉強していて、丁寧にラパヌイ(イースター島)のことを詳しく説明してくれた。彼女がいなければこの島のことを本に書いてある以上には何も知れないまま後にしてたと思う。幸せな出会い。

まずアフ・ヴィナプに向う。つい2〜3ヶ月前におバカな日本人が落書きをしたモアイが立っているところ。落書きされていたのはモアイではなくアフ(台座)の部分だったと思う。ぼや〜っとだが二人の苗字が書いてあった。恥ずかしいことしてくれる。自分で創ることが出来ないすばらしい創作物に対する敬意は無いのかと悲しくなる。


そこで、モアイ創作現場を見に行くが、ここはスゴイ!岩山には切り出しかけのモアイがそこらじゅうにゴロゴロ。あれもモアイ、これもモアイ。切り出した岩をモアイにするのではなくて、岩山からモアイを削りだし、最後に引っぺがし、山から下ろして島の各所に運んだのだと。ただ、そのほとんどは謎。

マサミさんが教えてくれたのは、現在ある説としては、モアイってのは男の象徴だということ、アフ・アビキにある7体のモアイを除いてその全ては海沿いで島の内側を向いてたっていること。これは自分が死んだ後も子孫を見守っていたいということらしい。アフ・アビキの7体のモアイだけが外を向いているのは、最初にラパヌイに来た7人の酋長たちのモアイで、自分たちが後にしたもう戻れないその場所を今も眺めていると。

ヌアによると、この島ではつい30年前くらいまで人が裸で海沿いの洞穴に住んでいたり・・・かと思えば、ヌアのように親が外交官かなにかでその頃にはすでに電気のある生活をしていた人もいたり。実はたまたま転がり込んだヌアの家は島で一番金持ちさんのお宅だとのこと。彼女は今のラパヌイに市場経済の考え方が入ってきて、観光客が来るようになり、島の人たちがどんどん金に執着していることをとても憂いでいて・・・だからこそ旅行者にラパヌイの人達が本来どういう民族なのかを伝えたくて宿屋を始めたとか。

     
   
     
ウチに帰ったらヌアが晩御飯を用意してくれてた。

日本を離れて南米で一人熱に苦しんだ後やからか、ヌアの優しさがすごくしみる。

明日は6時からモアイの後ろから登る朝日を見に行きます。