クラブで4時まで遊んだ後、コンビニでカップラーメン(チキン味)を買いお湯を入れて宿まで持って帰る。お菓子を広げ、外が白んでくるのをのんびりとやり過ごす。人生観や将来について、残された自由な時間について。みんな二十歳を数年超えて自分の道を決定するちょっと手前にいる・・・そう、ほんのちょっと手前。あと数歩進めばひとまずは大きな道へでるのだろう。その流れの中でずっと生きていかなくちゃいけないわけではない。でも、それはとても大きな道で、そこに足を踏み入れるのはやっぱり緊張する。緊張するし自分に一番の道を選ぼうと苦労する。もしくはそこから逃たくなる。旅の中で出会う人はそんな人が多い。「今のうちに休学してでも好きなことしときなよ」ってのは旅の中で社会人、もしくは社会人を辞めた人からよく聞くセリフだ。
ぼや〜っと空があけた頃、博子さんが出発した。「次は俺の番・・・」テラスで暖かいコーヒーを飲みながらペナンでの最後を惜しむ。この島へ来たのも、ちょっとどんな島かのぞきに行くだけのつもりだった。気が付けば今日が4日目。前評判のように「スゴク綺麗な海」があるわけでもなく特別なものがあるわけでもない島だった。でも、自分にとってなにか特別な島。様々な出会いがあった島だった。う〜ん、かなりのんびりしてて食べ物がうまくて人が皆良い人で・・・かなりお気に入りの場所やね。迎えのワゴンが来る。宿のオヤジと残りの皆に別れを言い、車に乗り込む。結局「コ・サムイ」までどうやっていくのかは分からないまま。『まさかアノ距離をこんなちっぽけな車で行くわきゃ無いよな』とだけ思いつつ、窓から流れる景色をただ眺めながらペナンを後にした。それが地獄の始まり。
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そう・・・地獄の始まり。まずは徹夜あけのため助手席に座ったままほとんど起きることなく国境へ付いた。運転手にたたき起こされ「パスポートを貸せ」って言う。これでこいつが走って逃げたら俺はこの見知らぬ土地でどうするんだろうとか漠然と考えながらも他の乗客(現地人と白人で計7人)も渡してるから大丈夫だろうと思い、その運ちゃんに全てを任せる。荷物を全て乗せた車と運ちゃんはそのまま別のゲートへ向い、7人は歩いてゲートを通る。ちょうど日本の高速道路の料金所を歩いて通ってる感じ。ゲートを越えるとちゃんと車は待っていて、乗り込んだらまたそこから車の旅が始まる。スラーターニへ着いたのはそれから数時間後のことだった。「降りろ」と言われ待合室のようなところへ下ろされる。「頼むからもっとちゃんと説明してくれよ」と、ヨーロッパ系夫婦と苦笑しながらもそこで待機。話によると1時半まで次の迎えは来ないらしい。特にすることもなく手持ち無沙汰に街をぶらつく。久々の一人。疲れからか体がダルい。一人が寂しいとか、誰がどうとか何にも考えられない。思考回路停止状態、精神不能、感受性ゼロ状態。全てのことがどーでもよくなってる。早く横になって眠りたい。

再び5時間もワゴンに揺られ、真っ暗な中着いたところは・・・どこ?文字は全てタイ語だからタイなんやろうけど。(後で調べてバンドン港だと判明)船の出発は4時間後。特にすることも無い。飯を食い、その辺にあった安宿の一階でメールをチェックする。重い荷物を担いだまま街をうろつくにも飽きたのでじっとしてられる場所を探す。港の待合室には浮浪者が酒盛りしていたが、無視してその横で仮眠する。寝不足と長時間の移動で体力がヤバイ。

やっと出向時刻になり、船(漁船みたいなもん)へ乗り込む。船室はただの雑魚寝の一室。でも人がいっぱいでこれ以上スペースが無い。船長に文句を言うと、俺ら(船員)と一緒にここで寝ろって言う。ここってただの甲板やんって思うけどあのぎゅうぎゅうづめの船室に申し訳なく入れてもらうよりはナンボかマシかと思い、デッキチェア―を広げ、マットを引く。このマットは2種類あって、一つはビニール製で一つは布製。 |
寝心地を考えたら断然布製だと思って選んで寝てると、なんか体中が痒い。かゆいけどほっといて寝てるとどうも肌になんか触る。まだ出航して間がなかったから電気がついてるので起きてみると素肌の部分(主に足)が赤くブツブツに腫れ上がってる。このマットも外に出しっぱなしで置いてあったため、ダニだかなんだか虫の棲家になっていたらしい。慌ててビニール製に変え、寝てたら今度は雨が降ってきた。一応天井にはビニールが張ってるが横から雨は降り込んでくる。どうにかデッキチェア―を中の方まで移動させ、寒くないようにウインドブレーカーを羽織り、やっと眠りにつくことが出来た。
(あとから調べたらこの船は「ナイトボート」ってやつで「割安だが時間がかかる」って書いてあった。通常、観光客が利用するフェリーなら1時間半で着くらしい・・・あの苦労はいったい・・・しかもそんなに安くもなかったし・・・もしかしてボラれた??)